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生産者紹介

【花巻市石鳥谷町】 伊藤邦彦さん

なす生産者

花巻市農村青年クラブ

皮が薄く柔らかいナス
伊藤さんのナス畑にお邪魔するのは今回で4回目。さわやかな夏空の下、瑞々しく実ったナス畑を歩きながら取材に応じていただいた。
 伊藤さんのナスは皮が薄いので、調理しやすく食べやすい。柔らかく実がしっかりしているので、色々な料理に応用できるという特徴がある。皮を薄くするのに大事なポイントは2つ。水管理と受粉処理である。水管理は自動の灌漑設備を使い、敷地内にある井戸水を畑へ送っている。タイマーで1日3回水を撒く。一方で受粉処理は機械まかせにできない。ナスの生長の初期段階では、温度が低く、受粉を手伝う虫も少ないため、生長しにくい。生長を促すため、受粉処理用の薬剤を開花した花の一つ一つに噴射する。すべてを終えるのに約4時間かかる。一つ一つのナスの生長を見ながら行う、とても根気のいる作業だ。
 この作業をきちんと行うことで、収穫までのスピードがしていないものに比べ2、3日違う。この差が、皮が薄く食べやすい、柔らかいナスを生み出している。
木の勢いを見る
 ナスの木は、ほっておくと上へ上へ伸びようと生長していく。木に勢いがありすぎると、実の方に栄養がいかず育たない。そのため、栄養が葉っぱに行き過ぎないよう余分な葉っぱを刈り、木の勢いを抑える。また一方で、葉っぱを刈りすぎると実に栄養が集まりすぎて、きれいな形になりにくい。
木と実のバランスを考えて、木の勢いをコントロールするのが剪定作業だ。これには今まで培った経験と勘がものを言う。伊藤さんがこの畑でナス栽培をはじめて12年。経験を積んできた自信がうかがえた。


子供たちの父親と農業の両立
 朝早い作業が多いにも関わらず、今年は、子供の野球チームのコーチ役も買って出た。朝早い集合時間が多い野球のコーチと、なすの収穫作業の両立は大変だ。前日の夕方に収穫作業行い、早朝に出荷作業をしてから、野球の集合場所に駆け付ける。朝、7時半の集合の場合などは、5時に出荷作業を行う。それでも、なすの作業をすることと、子供の成長を見守ることを両立したいという思いだと受け取れる。子供たちの為に、家のお庭にはウサギを放し飼いにするスペースを作り、ウサギを飼っている。自分で柵を作り、試行錯誤しながら、作り上げた。さんさんと降り注ぐ日光を浴びて育つなすと、石鳥谷の自然の中で、ウサギと健やかに育っていく子供たちの姿を想像しながら、伊藤さんのナス畑をあとにした。