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生産者紹介

【花巻市葛】 渕澤秀峰さん

おでん大根生産者

花巻市農村青年クラブ

北上川。岩手県を南北に走る一級河川である。
この北上川沿いに今回の生産者である渕澤さんの畑がある。今回は、朝ごはんプロジェクトのために栽培してもらった「おでん大根」を見るためにお邪魔した。
割れた大根
2014年から始まった朝ごはんプロジェクトの活動も早や7年目。おでん大根は新たな食材に取り組もうと、淵澤さんが朝ごはんプロジェクトのために考えて栽培してくれた作物だ。
2アールほどの広さの畑に案内されると、そこには曲がったり、割れた大根が目に付いた。おでん大根は、通常の大根に比べて、水分が多く柔らかい。そのため強風で曲がりやすく、割れやすいのだそうだ。
さらに今年は、9月の種植えのタイミングで雨が降らなかった上に、芽吹いたときに30度を超える暑さになり死んでしまったものも多かった。
このような厳しい環境に耐え、すくすく育ったおでん大根は、水分豊富で柔らかくおいしい大根に育つ。ちなみに割れたものも見栄えは良くないが食べる分に支障はない。
もう少し寒くなると梨になる。
実際におでん大根を土から抜いてもらった。淵澤さんがうっと力をこめ、土からおでん大根を掘り起こす。3kgはあるだろう大きく立派な大根が姿をあらわした。
おでん大根は曲がりやすく割れやすい繊細な野菜だ。一方で生食から煮物まで使え、どんな調理法でもおいしく食べることができる優れた食材でもある。下から半分は煮物向き。上から半分は生食の方が甘さを楽しみつつ食べることができる。
もっと寒くなり畑に霜がおりる。するとさらに甘くなる。おでん大根の上から半分は薄く皮がむけるような状態になり、まるで梨みたいになるそうだ。
北上川の恵み
淵澤さんの畑は北上川のすぐそばにある。川近くの土地は、川の氾濫によって水中に含まれている色々な栄養が土壌に運ばれてくるため、豊かで肥えた土地である場合が多い。淵澤さんの畑もそんな川の恵みを受けている。
もともとは水田として使っていたのを野菜畑に変えた。近くできゅうり栽培もしており、水やり用に使用しているパイプラインも北上川からあがるものをつかっている。
帰り際に各宿におでん大根を1本ずついただいた。どれも真っすぐ育った立派なものばかりだ。この真っすぐな大根がある一方で、ダメになったものはどれくらいあるか分からない。
作物は暑さや風によってダメになることもあれば、川や土の恵みによって生かされてもいる。自然の厳しさと優しさを感じながら淵澤さんの畑をあとにした。