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生産者紹介

【花巻市葛】 渕澤秀峰さん

白菜生産者

花巻市農村青年クラブ

初雪となった川辺の白菜畑にやってきた。ここは淵沢さんの白菜畑。お邪魔するのは、おでん大根の取材から1ヶ月ぶりだ。
そこには大きく立派に育った白菜がきれいに整列している。今朝から降った雪が白菜畑にところどころ残っており、陽光にきらきらと輝いて美しい。
最高の仕上がり
白菜を間近で見ると、その大きさと重量感に驚いた。頭の外葉を触ってみると、ぎゅっと中身が詰まっており、ズシリとした重みを感じる。例年は一玉あたり3kg程度の重さだが、今年は4~5kgあるそうだ。
大きく育ったのは夏の干ばつが関係している。白菜は8月下旬に栽培を始めるのだが、今年は干ばつのため断念し、9月からはじめた。水やりに苦労していたが、いったん雨が降り出すと一気に育ち、なかなか寒くならず秋が長かったため、すくすく育った。

素人目にはどれも立派に見えるが、虫に食われたり、育ちすぎて割れたりして、出荷できないものもある。
淵沢さんに促され、別の白菜の頭を押してみると、中が空洞のように手ごたえが無い。これは白菜に芯が入ってない状態だ。この白菜のように出荷できないのものは全体の3割に及ぶ。
雪が降ってからの勝負
収穫には十分な大きさに育っているが、淵沢さんはあえてまだ畑に残している。理由の一つに家庭菜園がある。
白菜、大根、きゃべつは家庭菜園で秋の定番。今年は家庭菜園での栽培状況もいい。そのため今、直販などに白菜を出してもなかなか売れない。
もっと雪が降り、寒さが厳しくなると家庭菜園の人たちは畑に入らなくなる。それを待ってから売りに出す。農家のステージはこれからだ。
お皿の上を想像する
白菜を畑に残しておくメリットはまだある。白菜は霜にあたることで甘さが増す。この甘さは生食にして食べた時に顕著で、白菜を卸しているレストランなどで好評だ。

淵沢さんは、自分の野菜がお店でどう料理されているか、高い関心をもっている。出荷して終わりではなく、現場の声を聞き、作るものを変えている。
例えば紫白菜。白菜畑の一部で栽培している紫色の白菜で、レストランなどへの出荷のため栽培している。白菜が生食の他、煮物にしても合うのとは違い、紫白菜は色が抜けてしまうので煮物には適さない。しかし酸味のものに漬けこむとさらに色鮮やかな白菜の漬物になる。現場から感想を聞いたり、自分で食べてみて、食べる人や調理する人の気持ちを考えている。
お皿の上を想像して、自分の野菜の役割を考えているのだ。旅館にとって素晴らしい理想的な生産者のパートナーである。

 大きな白菜を見ながら、どんな料理にするか皿の上を想像しながら淵沢さんの畑を後にした。