生産者紹介
【花巻市似内】
照井健二さん
寒じめほうれん草生産者
- 線路のそばのビニールハウス
- 花巻市内を東西に走る釜石線。その線路のすぐそばにあるビニールハウス群が今日の取材先、照井健二さんのハウスだ。
複数のハウスが立ち並ぶ中、目当ての寒じめほうれんそうは2つのハウスで栽培されている。長い期間にわたって出荷できるようハウスごとに栽培時期をずらしているのだと言う。
ハウスの広さは間口4間×奥行19間。その中に20列くらいの寒じめほうれんそうがきれいに並んで栽培されている。普通のほうれんそうと違い、寒じめほうれんそうは横に葉っぱを広げるため、野菜同士の幅を広めにする必要がある。その分、収穫量が減ってしまうが、照井さんは寒じめほうれんそうの味に注目し、あえてこちらを選んで栽培している。
実際に、採れたての寒じめほうれんそうをいただいた。口にすると苦みが無くとても食べやすい。味の秘密は冬の寒さに関係している。
- 冬の寒さに耐える寒じめほうれんそう
- 冬の寒さによって野菜の甘みが増すことは昔から知られていた。寒さで凍らないように野菜は糖分を蓄える性質があるからだ。この性質をうまく使うため、あえて冬に栽培しているのが寒じめほうれんそうだ。
寒さにあてることで糖分だけではなくビタミンやミネラルも蓄えるので、普通のほうれんそうよりも甘みが強く、苦みがなく、栄養価の高いほうれんそうになる。
さらに収穫前にはハウスのビニールを開け、約1週間にわたり外気にあてることで、さらに甘くするのだと言う。
また寒じめほうれんそうが横に広がっているのも寒さに耐えるためだ。普通のほうれんそうのように上に伸びていくと冷気に負けてしまう。それを防ぐため、なるだけ地面に近いところに育っていくのだ。
- 土と野菜の相性
- 土と野菜には相性がある。寒じめほうれんそうははじめに水をたっぷり撒けば、それほど手間はいらないのだが、この土地は水はけが良すぎて、乾きやすいのだと言う。そのため井戸水をチューブでハウス内に引き入れ、水不足にならないよう管理している。
水管理は大変だが、一方で草があまり生えないので草取りの手間はあまりかからない。どんな土地にも特徴があり、土と野菜の相性を考え、確実に収量を確保するための積み重ねが大切だ。
採れたての寒じめほうれんそうをお土産にいただいた。今年の冬は雪が多く寒さが厳しい。この寒さに耐えるおいしい料理をつくるべく、照井さんのハウスを後にした。