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生産者紹介

【花巻市似内】 照井健二さん

雪下にんじん生産者

花巻市農村青年クラブ

一面の雪原
両脇をビニールハウスに囲まれた雪道を奥に進むと、一面の雪原が広がっている。普段は野菜を栽培する畑だが、毎日の降雪で完全に雪に覆われている。
その一角の雪が掘り起こされており、地面がむきだしになっている。この土の下に雪下にんじんが眠っている。30センチは積もっている雪を照井さんがスコップでかき砕き、次に手で土を掘ると雪下にんじんが顔を出した。
雪下にんじんに向いている土
通常にんじんは夏や秋に収穫するが、雪下にんじんは雪の下の畑で越冬し、3月ころまで収穫が可能だ。雪に覆われた畑は凍らず、土は手で掘れるくらい柔らかい。雪下にんじんは寒さに当たることで通常のにんじんより糖度を増し、生食できるくらい甘くなる。雪下にんじんは雪国ならではの野菜だ。

畑の広さはおおよそ1反歩。オランジェという赤色のものと、金美(きんび)という黄色いものの2種類を作っている。オランジェ6割、金美4割の割合で栽培している。2品種を育てることで、片方に不具合があっても、もう一方で補うことで収穫を安定させる狙いがある。

この畑は、土の中に石などが無いという特徴がある。石などが無いので曲がることなくまっすぐ伸びることができ、雪下にんじんにとっては栽培に向いている土地だ。
また水はけが良いという特徴もある。雪下にんじんは発芽までは水が必要で、それ以降は水が多すぎるとよくないと言う。水はけが良いことで、水のやりすぎを防ぐことができるというのも、雪下にんじんの栽培に適していると言える。

照井さんの露地栽培用の畑は4か所。連作障害を防ぐために、2年続けて同じ場所で同じ作物を作らず、雪下にんじん、じゃがいも、キャベツ、休耕地のローテーションで作る場所を変えている。
新しい農家のために
照井さんは露地栽培用の畑の他に、冒頭で触れたビニールハウス10棟でも野菜を栽培している。今度から、このビニールハウスの一部を新規就農者に貸すことにしている。
照井さんは、これまで農業青年クラブをはじめ、積極的に地域の若手農家と交流を持ってきた。多くの人たちから学んでいた照井さんが、今度は新たな農家のスタートを支援する側にまわる。雪下にんじん等の野菜栽培に加え、後進の育成とますます忙しくなるが、照井さんは飄々としている。新しい人が加わり、これからを楽しみにしている様子だ。
 厳しい寒さに耐え、大きく育った雪下にんじんをいただき、雪原の畑を後にした。