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生産者紹介

【花巻市中根子】 平賀恒樹さん

雪下にんじん生産者

花巻市農村青年クラブ

ニンジンはどこ?
1年ぶりに平賀さんの畑にお邪魔した。今回はニンジンの取材だ。訪れた畑では、2アールほどの面積を使いニンジンを栽培している。
一見すると、畑のどこにニンジンがあるかわからない。今年は雪が少なかったため、葉っぱが焼けて見えなくなったためだと言う。平賀さんが丁寧にスコップで土を掘り起こすと、かわいらしい黄色のニンジンが姿を現した。

農家でカフェ経営者
 今年のニンジンは例年に比べ小さい。大きく育ちにくかった原因は夏にある。
ニンジンの種まきは8月だ。今年の8月は雨が降ったり日照りだったりと天候が安定せず、種まきが遅れた。そのためニンジンが大きくなりにくかったのだ。
ただ小さくても味に違いはない。平賀さんは自信が経営するカフェ「ファームプラス」で、ニンジンをはじめ、多くの自分が育てた野菜を使った料理を出している。ここで採れたニンジンは素揚げにしたり、ポタージュにして提供する。お客さんからの評判は上々だ。
平賀さんは農家でありカフェ経営者であるため、野菜の味だけでなく、皿に乗った時に自分の野菜がどうお客さんに見えるかを考えている。そのためニンジンでも彩りの良い黄ニンジンやオレンジのニンジンを栽培している。
いつも実験みたい
「いつも実験作みたいなことやってる。」と平賀さんは言う。今回は2種類の種をまき、生育の違いを比べた。
 オレンジのニンジンはコート種子というもので、種子のまわりをコーティングすることで、種子サイズが均一になり、大粒で撒きやすい種子だ。黄色のニンジンは裸種子というもので、細かいサイズの種子を使った。
どちらも手押しの種まき機を使い撒いていった。コート種子は大粒なので1つの穴に1粒ずつ撒かれ、裸種子は小粒なので1つの穴に10粒くらい撒かれた。コート種子は1つの穴に1粒なので間引きの手間がかからない利点がある。一方で裸種子はたくさんの種子が1か所に集まっているので競争が起きるため、一個一個が大きくなりにくい。
コート種子の方が育ちやすいように思われるが、蓋を開けてみると、きちんと育ったのは裸種子の黄色のニンジンばかり。コート種子のオレンジは不作だった。なぜか?

 それは畑の環境にある。平賀さんはあえてここ5年ほど他の畑に移らずに、この畑で栽培し続けている。薬剤を使わず、肥料も入れずにどこまでやれるか試しているのだ。
おそらくこの畑は、普通の畑より厳しい環境なのだろう。そういう環境下では、競争が少なく加工されたコート種子は育たず、競争にさらされた裸種子は、競い合いに生き残ったものが小さくとも立派に育ったのだろう。これで来年は裸種子のみを使って栽培したほうが良いことが分かった。
魅力ある農法
 カフェをはじめるころから、平賀さんはたくさんの肥料や薬剤を入れる農法に魅力を感じなくなっていった。
「やっぱ食べて新鮮なうちに味わうのが野菜はいい。そのためのカフェでもあるんで。」
 なるだけ自然に近い形の方法で、新鮮でおいしい野菜を作る。平賀さんのこだわりは、直にお客さんと接しているからこそだ。

 不揃いながらも彩り鮮やかなニンジンをたくさんいただき、平賀さんの畑を後にした。