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生産者紹介

【花巻市横志田】 高橋清孝さん

長ネギ生産者

花巻市農村青年クラブ

雨のネギ畑
ぽつぽつと降る雨の中、農道を進んだ先に青々としたネギ畑が広がっていた。さらにその先へ進むと小屋が建っていて、がっしりとした体格の男性が私たちを待っていた。この畑の主人、高橋清孝さんだ。
「今年のネギの出来はまあまあです。」
堂々と直立したネギ畑の前へ移動し、高橋さんは取材に応じてくれた。
ネギの管理と草の管理
高橋さんの育てている長ネギは3品種。森の奏で、ホワイトソード、関羽の3つだ。味に大きな違いはないが、成長が早いものから遅いものまで揃えることで、切れ目なく長ネギを出荷することができる。長い期間にわたって出荷できるのが長ネギの魅力の一つだ。

平成24年に就農してから長ネギを作り続けてきた。最初は失敗や苦労が絶えなかったと言う。特に“草の管理”については独学で学んだ。
「ネギの管理は勉強できましたが、畑に生える草を薬でどうおさえるかと言う、“草の管理”は自分で調べました。それまでは、草を手で取っていたのできつかったです。」
就農する前に農業指導を受け、長ネギの管理を学ぶことはできた。しかし除草剤をどのタイミングでどう投入すればよいか、といった草の管理を学ぶことはできなかった。
調べると2種類の管理が必要なことが分かった。一つは春先など草の生育が遅い時期に行う草の成長を抑える管理。長ネギが小さい時期でもあり、長ネギの生育を邪魔しないように注意が必要だ。もう一つは、暑い時期に草の生育が早くなると行う管理。除草が間に合わないため、草が生い茂った状態で薬剤の散布を行うことになる。
どちらも薬剤散布の回数が決まっているため、天候やその時の草の生育により、ベストのタイミングを狙って散布しなければならない。知り合いのネギ農家などへ勉強に行き、数種類の薬剤を試しながら経験を積んでいった。
選別の真っ最中
 長ネギの生育から収穫までが高橋さんの主な仕事だ。その後の選別から出荷までは奥さんが担当する。ネギ畑のすぐ近くに選別用の小屋があり、そこでは、ちょうど収穫した長ネギを選別する作業の真っ最中だ。奥さんとパートの女性が手慣れた手つきで、長さや太さにより長ネギの仕分けをしていた。
「今年は人手を確保できなかったのできつい。選別の作業に人手が欲しいです。」
長ネギは、畑から収穫した後、皮むきをし、規格ごとに選別して出荷する必要があり、収穫から出荷まで最短で2日かかる。現状の出荷量は5kg箱で30ケースがいいところ、これを50ケースに増やしたいが、人手が足りない。これが高橋さんの今一番の悩みだ。
農業を見ながら育った。
「これはお子さんが描いたものですか?」私が小屋の壁に貼ってある絵を指して尋ねると「そおっすね。」と少し笑いながら高橋さんが話してくれた。
 高橋さんは3児の父でもある。生まれは花巻市の隣にある遠野市で、実家も農家だ。小さなころから農業は身近な存在だった。
実家の農家は兄が継ぎ、自分は就職を機にサラリーマンとして花巻で働いた。今の奥様と出会い、高橋家へ婿として入った。
高橋家はすでに離農していたが、遠野の実家が農家だったことや、農業資材など使えるものが残っていたこともあり、農家への道を志す。
サラリーマンから農家への転職に抵抗はなかったのだろうか?
「そおっすね。最初は抵抗ありましたけど、何とかなるかなと。」
農作業で忙しい中でも、時間を作り、長男が通う中学校では野球のコーチを務めている。高橋さんは、地域の子供たちのために自分の時間を惜しまない。
「子供の試合は見に行けませんけど、平日の夕方は(野球のコーチに)拘束される。時間をなげてやっています。」そう言って高橋さんは笑う。
朝ごはんプロジェクトついて
最後に朝ごはんプロジェクトに参加して感想を伺った。高橋さんが朝ごはんプロジェクトに参加して3年ほど経つ。最初は、温泉旅館で自分の長ネギを使った料理を食べた人から、直接感想をもらうことがあった。そして最近では他の生産者から、朝ごはんプロジェクトの取り組みについて聞かれることが増えたそうだ。この取り組みへの興味や関心を持つ人たちが確実に増えている。
今後の温泉旅館と農家の連携に想いを馳せつつ、ネギ畑を後にした。