生産者紹介
【花巻市似内】
照井健二さん
アスパラガス生産者

- てるけんさん
- 照井さんは花巻の農家に生まれ、北海道の大学を卒業後、道内の農協に就職した。現場の生産者と接しているうちに野菜栽培への思いが募り花巻へ戻って、27歳のときに農業経営をはじめた。借用したビニールハウスで、アスパラガスをはじめパプリカやミニトマト、寒じめほうれん草など様々な野菜栽培にチャレンジしている。
また農家経営にとどまらず、花巻市の農村青年クラブで会長を務める等、地域の農業発展にも積極的に参加している。若手の農家仲間からは、“てるけん”の愛称で親しまれている。
- 露地栽培、ハウス栽培の両方に精通
- 照井さんは、個人で農業を営む一方で、自宅近くにある中根子生産組合のメンバーでもある。中根子生産組合では露地でアスパラを栽培しているので、照井さんは露地栽培とハウス栽培の両方のアスパラガス栽培に通じている。
アスパラガスをハウス栽培するメリットは多い。まず病気が出にくいことがあげられる。
アスパラガスで致命的な病気のひとつに茎枯病がある。出始めの若い茎の黒粒の点々ができる病気で、この黒粒に雨が当たり水に濡れると空中に胞子を出し、周辺の他の茎を枯らしてしまう恐ろしい病気だ。これを防ぐにはたくさんの薬剤散布が必要になる。
畑の土壌表面にある病原菌が、雨などではねて茎に付着するのが原因と言われており、雨を防ぐ栽培ならこの病気を防ぎ、過剰な薬剤使用も防げる。
- 土壌の違い
- 安定した収量を確保するには土壌の違いも大きい。ここの土と組合のそれでは条件が異なり、同じやり方ではうまく収穫できない。
例えば水はけ具合。ここの土は水はけがよい場所だが、その分アスパラガスへの水やりの回数を多くする必要がある。
またアスパラガスは前年の養分を蓄えて生育する野菜だ。そのため前年の気温が暑すぎたりして、養分の蓄えがうまくいかないと今年の収量が減ってしまうことがある。前からの積み重ねが大事な作物なので、水やり、肥料、草取りなどアスパラガスの生育を見ながら、こまめに調整することで、安定した収量を確保している。
- 新規就農者の先輩として
- 照井さんのビニールハウスは複数あり、そのうち一部を最近就農したばかりの若者に使ってもらっている。ちょうどハウス内で作業中だったので、紹介していただいた。
ハウスではミニトマトとネギをつくっている。ミニトマトは照井さんも経験がある野菜だ。経験豊富な先輩が近くおり、とても心強いことだろう。
照井さんは若手が仲間に入ってくれたことにとてもうれしそうだ。
照井さんが就農したてのころ、近所の生産者にアドバイスをもらい、収量を安定させることができた。近くに力を貸してくれる先輩農家がいることは心強い。
あれから数十年たち、今度は照井さんがその役割を担う時が来た。新規就農者にとって頼れる先輩であり、また地域にとっても頼れる農家“てるけん”さんの存在はこれからますます重要になっていくに違いない。