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生産者紹介

【花巻市上根子】 平賀恒樹さん

寒ざらしキャベツ生産者

花巻市農村青年クラブ

川沿いの畑にて
2月の花巻は積雪のピークと言われる。しかし今年は雪が少なく、天候が不安定な日が続いている。この日は季節外れの小雨がぱたぱたと降っていた。
平賀さんへの取材は今回で4度目だ。はなまき朝ごはんプロジェクトの活動初期からお世話になっている。
取材先のキャベツ畑は毎度違う場所になる。これは連作障害を防ぐため、キャベツの栽培場所を毎年変えているためだ。今回は川沿いに広がる眺めの良いキャベツ畑に案内してもらった。
4か所の農地でまわす
野菜づくりで恐いのが連作障害だ。連作障害は、同じ場所で同じ野菜を続けて作ることで起きる。野菜の生育状況が悪化し収穫量に影響が出てしまう。
 これを防ぐため、平賀さんは複数の畑をうまく回しながら対応している。
「田んぼと畑の組み合わせでやってんのね。あの去年やってたところは田んぼになってんのね。そういう作付のやりくり的なところで、実際そうなれば連作障害は回避できるから。」
 田んぼにすると自然と土地を休ませることができる。それ以外の畑ではキャベツやニンジンなどを作り、4か所の農地を異なる作物で回しながら上手く栽培している。
  青々と成長したキャベツの中に、わずかに赤い色のキャベツが見える。これは、今年は雪が少ないためにキャベツが凍って痛んだ痕だという。
「凍ると痛むね、凍って溶けてを繰り返すから。こういう赤い枯れたような感じになっちゃう。あとね、去年より小さい。」
 確かに去年に比べキャベツが小さめだ。キャベツを植える夏の時期、気温が暑く雨が降らなかったため大きく育たなかったそうだ。枯れてしまったキャベツも多く、今年は去年より収量は減ることになる。

 しかし気温が下がっているので味に問題はない。また、おいしいキャベツに育てるため、花巻の畜産農家からブランド豚である白金豚の堆肥をメインの肥料に使っている。
「白金豚の堆肥しかいれてないっす。化成肥料使うよりコストはかかんないし、やっぱね堆肥のほうが味はいいと思う。」
 就農して10年以上。今も経験を積みながら、もっともよい方法を模索している。

薬は少ない回数で
おいしいキャベツに育てる工夫は虫対策にも表れている。
「薬って、この作物にこれ使っていいよっていうのが作物ごとにあるのね。キャベツ用でもこの虫に効くとか、あと効き方とかいろいろ種類があって、それをそのタイミングに合わせて使う。」
虫はキャベツの天敵だ。虫対策として薬を使うが、それにも知識と経験が欠かせない。
 今年は虫が少なかったので薬は2回で済んだ。キャベツを植える前にまず1回薬を使う。これは小さい苗が食べられるのを防ぐ。2回目は植えた時に薬を使う。これは虫だけでなく、その卵にも効果がある。そうすることで薬の効き目を長持ちさせ、なるだけ薬を使わないように工夫している。
「回数いっぱい使うよりはね少ない回数で持たせた方がいいなって俺は思ってるから。」
野菜づくり、カフェ、そして加工品工房
平賀さんは野菜づくりの傍ら、2016年にファームプラスカフェをオープンさせた。平賀さんが調理や接客もしながら、自分の畑から採れた野菜で料理を作り、ゆったりしたカフェでお客様に味わってもらう。
 カフェには多くのお客様が来ている。その中には「はなまき朝ごはんプロジェクト」で提供した朝ごはんを食べたお客様もいて、声をかけてもらったこともしばしばあった。
「うちにくるお客さんでも朝ごはんプロジェクト知ってるお客さん多くて、そういう取り組みやってますよねえ、とかって言われる。」

 野菜作りとカフェ運営。2本の収入の柱を得て、平賀さんはさらに新たなチャレンジを行う。ファームプラスカフェのすぐ近くに、農産物の加工品をつくるための工房をオープンさせるのだ。
 平賀さんが農家仲間といっしょに活動している「どんまいプロジェクト」。この活動は地元野菜で作ったドレッシングなど、農産物を使った加工品を製造、販売している。今までは製造場所を借りている状態だったが、ついに自分たち専用の工房をつくることができた。
「そっち(工房)もやってカフェもやって野菜もやって。(収入の柱を)三本柱で行こうかなっていう。」
 平賀さんへ取材するたびに、新しい挑戦をし続けていることに驚かされる。取材陣も大いに刺激を受けたインタビューだった。