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生産者紹介

【花巻市葛】 阿部貴広さん

しいたけ生産者

花巻市農村青年クラブ

しいたけハウスにて
 しいたけ農家の阿部貴広さんのもとを訪れるのは約1年ぶりである。肌寒い中を出迎えてもらい、そのまま仕事場であるビニールハウスへ案内してもらった。奥行18間ある大きなハウスで、入り口3軒分は作業スペースとして使い、奥の15間でしいたけを栽培している。
 ハウス内にはしいたけの菌床ブロックが1列4段の棚に置かれ、ハウスの奥までびっしりと整列している。このようなハウスは3つあり、1つは入れ替え用で休ませ、残り2つの作業用ハウスで約11,000玉の菌床ブロックを育てている。
ちょうど伺った時期は作業が一段落し落ち着いた時期だった。しいたけ栽培は、収穫と休養を繰り返す。1回の収穫のピークが10日から2週間、そして10日ほど休養し、また収穫へ。このサイクルを2つのハウスで上手くずらすことで、あまり間をあけずに収穫を続けることができる。
玉の中の温度が重要
 菌床ブロック一玉からいかに収量を最大にするか。そこが腕の見せ所だ。そのためにはしいたけ菌を上手く動かさなければならない。 
 しいたけ菌が活発に動くのは22~3度。わずか2度暑かっただけで動かなくなる。22~3度を1週間ほど維持し菌を活発に動かし、しいたけの芽が中でつくられるのを待つ。そして一気に冷やしたり衝撃を与えることで芽が出てくる。
 また菌床ブロックの中の温度管理も重要だ。阿部さんが見せてくれた菌床ブロックの一つに温度計が刺さっている。専用のメーカーから購入したもので、室内の温度と菌床ブロック内の温度が同時に計測できる。
 菌が活発に動いていると外気よりブロック内の温度の方が高くなる。外気とブロック内の温度が2度差あれば、確実に菌が動いているので芽づくりの見極めができる。この温度計をハウスの暖房機から最も遠く寒い場所で測る。そこが温まれば他も温まっているからだ。
 しいたけ菌が動いている確認ができたら次にショックを与える。夜にハウスを開放して冷やす。その時も温度計を使い、今度はハウスの真ん中にある菌床ブロックを測る。そこが一番冷えにくい場所だからだ。
 必要なときに温度を上げ、そして下げる。それ以外にも適切なタイミングでの水やり、光、そして酸素や二酸化炭素の濃度など、ハウス内の環境をコントロールする。それが不十分だと変形のものが多くなり出荷できない。
肉厚なしいたけ
 取材が一段落しハウスの外に出ると、阿部さんの奥さんが小分けにし袋詰めした、しいたけを渡してくれた。とても肉厚で一般的なスーパーで見るしいたけとは全く違う。
 阿部さんは以前、複数の品種のしいたけを栽培していたが、今は肉厚で長く収穫できる品種1つのみを栽培している。たいへん好評で、阿部さんのお宅に直接買いに来るお客さんもいるほどだ。
このしいたけでどんな朝ごはんをつくろうか、楽しく思案しながら阿部さんのもとを後にした。