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生産者紹介

【花巻市石鳥谷】 伊藤邦彦さん

ピーマン生産者

花巻市農村青年クラブ

伊藤邦彦さんの野菜畑
 2年ぶりに訪れた伊藤邦彦さんの野菜畑。かつて水田となす畑だった場所に真新しいビニールハウスが4棟たっている。ハウス内は青々としたピーマン畑が広がっていた。
新しい挑戦
伊藤さんは10年ほど手掛けていたナスと水田の栽培を縮小し、昨年12月にビニールハウスをたて、そこで新たにピーマン栽培をはじめた。
 ナスからピーマンへ。当初は栽培方法の違いに戸惑いもあった。例えば葉っぱの管理。ナスもピーマンも次々はえてくる葉っぱの処理が野菜づくりのポイントの一つだ。ナスの場合は、下に生える葉っぱはこまめに取るのが良しとされるが、ピーマンは光合成をして栄養をつくらせるため葉っぱを残しておき、8月くらいに風の通りをよくするのに一気に取るようにする。
 また受粉にも違いがある。ナスは栽培の初期に受粉処理用の薬剤を開花した花に噴射し、生長を促していた。一方でピーマンは花粉の量が豊富で、受粉処理の必要がない。

ナス栽培で培った経験
もちろんナス栽培で培った経験も生きている。水管理は以前から使っていた自動潅水システムを活かし、液肥と一緒にこまめに管理している。
 さらに害虫駆除についてある工夫をしている。普通は農薬を散布するのだが、伊藤さんのハウスでは害虫駆除にダニ剤を使用している。このダニ剤はピーマンの天敵であるアザミウマなどの害虫を殺虫する効果がある。また花粉などを餌にして増殖するため、花粉量の多いピーマンにはぴったりで、野菜への定着性が高く、害虫被害から野菜を長期に守ってくれる。これを使うことで使用する農薬を減らすことができる。
理想の農家
 はじめてのピーマン栽培だが、生育状況は良好だ。伊藤さんがこれまでの経験にあぐらをかかず、JAの営農指導をはじめ謙虚に新しい知識を吸収している賜物だろう。
 ナスからピーマンに営農スタイルを変えたのには理由がある。ひとつは冬場の収入源の確保だ。
 今までは露地栽培だけだったので、冬期間の収入源を確保しにくかった。ハウスを手に入れたことで、1年を通した野菜作りが可能になった。
 もうひとつは家族との時間だ。伊藤さんは小学生のお子さんが二人いる。ナスは収穫時期を迎えると一気に大きくなり、少し目を離しただけで規格外になってしまう。そのため朝から晩まで収穫に追われる日々が続き家族との時間がとれなかった。一方ピーマンは収穫時期を迎えても、急速に大きくならないため、ナスに比べて時間にゆとりができる。

 むやみに規模を拡大させず、質の高い野菜をつくり、家族の時間を大切にする。農業と家族をバランスよく大事にする伊藤さんは、農家の理想かもしれない。肉厚でみずみずしい新作ピーマンをいただき、伊藤さんのハウスをあとにした。