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生産者紹介

【北上市成田】 齊藤靖子さん

春キャベツ生産者

丸とラグビーボール
今回お邪魔したのは春キャベツ専用のハウス。きれいに整理され、ビニールハウスの奥まで春キャベツが5列に並べられて、みっしり奥まで配置されている。その数9060個。これを齊藤さんほぼ一人で管理している。
春キャベツは葉っぱが重なり球状になる、いわゆる結球の状態まで育っており、あと1か月ほどで収穫可能になる。丸形のものとラグビーボール形のものの2つの品種が栽培されている。ラグビーボール形のほうがやわらかく凍りやすいので、5列の真ん中に植えている。
だんだん自分の好きなものが決まってきた
齊藤さんは肥料にも造詣が深く、細かく肥料設計している。化成肥料と土壌改良剤、納豆菌や麹菌などを入れることで、土の温度をあげることができる。それによって外気温がマイナス10度まで下がっても耐えることができる。
肥料は与えすぎると野菜が肥料に負け、いわゆる肥料焼けを起こして傷んでしまう。そのため与えるタイミングがポイントになる。
肥料は時間差で効果がでる。その傾向をつかんで、即効性のある化成肥料を最初に与え、効果がきれるころに有機肥料を与える。そうすると追肥をする手間が省け、肥料焼けも防げる。
どの肥料をいつどのタイミングで使うか、試行錯誤しながら行ってきた。それを齊藤さん、だんだん自分の好きなものが決まってきた、と言う。
無駄な肥料を使わない、という考えは他の作物でも活きている。例えば、他のハウスで栽培しているいちごは、葉っぱに使った肥料に余りがでる。それを別の作物に使い無駄がでないよう徹底している。
土壌の管理で言うと、もう一つ避けたいのが連作障害だ。作物を同じ土壌で連作すると、作物の異常や収穫量が減少する障害が発生する。これを防ぐには異なる作物を栽培する場所をローテーションで回しながら栽培する必要がある。
齊藤さんはこの連作障害対策にも、ただ土地を移していくだけではなく、土を活性化することを考えて、とうもろこしを栽培している。とうもろこしは連作障害が出にくい作物なだけでなく、土をふかふかにしてくれ、次の作物の栽培につなげることができる作物だ。さらに残滓は砕いて土に混ぜれるので処分の手間がかからない。
勉強好き
一人で多くのことをしなければならないので、常に情報を集めて同じ手間で高く売れるものを探している。ネットで調べたり、専門の新聞をとったり、忙しい中でもアンテナを張って勉強しているのが齊藤さんのすごさだ。
例えばとうもろこしは、新しく出てきた赤いスイートコーンを栽培しはじめた。コーンスープにしても赤くなり、色合いが珍しく、また甘い味わいの品種だ。
消費者に飽きられないよう新しい作物への挑戦は続く。齊藤さんの行き届いた姿勢に感銘しつつ、ビニールハウスを後にした。