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生産者紹介

【花巻市葛】 阿部貴広さん

しいたけ生産者

花巻市農村青年クラブ

新しいビニールハウス
この冬は異例の暖かさが観測され、その結果、しいたけの収穫量が例年に比べて増加しました。また今季は、ビニールシートを全面的に新しいものに変えました。
シートには断熱系の布がはいり、ハウス内の温度をあたたかくキープしてくれます。このシートをいれた理由は、主に光熱費の抑制のためです。

しいたけ栽培は光熱費が大きなコストを占めます。これからさらに高騰し続ける暖房費の削減のため、夏入り前に思い切ってシートを入れ替えました。この変更により、前年比で電気代が大幅に削減されるなど、目に見える効果が得られています。

しかし、この断熱材は水分を吸収しやすいため、ハウス内の湿度が下がるという弱点もあります。しいたけ栽培には適切な湿度が不可欠であるため、阿部さんは通常のビニールシートと断熱シートを組み合わせることで、湿度を保つ工夫をしています。
ハウス環境が少しずつ違う
ビニールの変更により、ハウス内の環境も変わりました。特に二酸化炭素の量が増加し、これがしいたけの変形を促す可能性があります。この問題を解決するため、阿部さんは換気の回数を増やし、空気の入れ替えを頻繁に行っています。これらの工夫により、収穫量を維持しながら安定した栽培を続けることができています。

光熱費をかける以上、より多くのしいたけを収穫したいというのは自然な考えですが、質の高いしいたけを栽培するためには、その量にも限度があります。ハウスの許容量を超えると、酸素不足や管理の難しさから、しいたけの変形が起きやすくなります。
経験と感覚が重要な職人技
阿部さんは、ハウス環境の微妙な変化を常に注意深く観察しています。このような環境の中で、しいたけに最適な条件を模索し続けることは、まさに職人技です。

現代では多くの農業がデータ化やオートメーション化されていますが、阿部さんはしいたけ栽培の特性上、これらを採用していません。しいたけ栽培は、目に見えない菌床ブロック内のしいたけ菌を育てる作業であり、そのため経験と感覚が重要となるのです。
美しいしいたけを育てる職人の誇り
「このハウスにはこのぐらいの球数がちょうど合ってたんかな。」

阿部さんの言葉からは、自らの勘を磨き、美しいしいたけを育てる職人の誇りが感じられます。

私たちは、その成果とも言える美しい形のしいたけをいただき、感謝の気持ちを込めてしいたけハウスを後にしました。