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生産者紹介

【花巻市二枚橋】 川村姫子さん

かぼちゃ生産者

布団かけて大事に
最初に案内されたのは、かぼちゃ畑ではなく5棟のハウス。かぼちゃの収穫は終わり、畑でかぼちゃの姿を見ることはできない。そこで訪れた私たちのために、このハウスに持ってきてくれていたのだ。
驚いたのはかぼちゃの種類の豊富さ。スーパーなどでよく目にする緑の皮のかぼちゃの他、白い皮のものや、ミニサイズの坊ちゃんかぼちゃ、黄色い皮のそうめんかぼちゃに、ひょうたんのようなかたちをしたバターナッツなど、色や形がとても豊かだ。
こんなに多くの種類をつくるのは大変な手間がかかるのではないか?そうでもないと姫子さんは言う。
「カボチャってあまり手かかんない。こういう育苗用のポットに1個ずつ種植えて、6月くらいに。畑に持ってって植えるのよ。」
かぼちゃは畑に植えさえすれば、水やりが要らず、雨と太陽の光で勝手に育つと言う。ただし最初に育苗ポットを植える時はかぼちゃがまだ弱いので、草に栄養を取られないように工夫を施す。
「ビニールをまいて穴掘って、根元のところにだけ草生えないように。やっぱり負けちゃうので。草にまけないように、土をやってね、ビニールやるんです。保温にもなるし。布団かけて大事に、根元の当たり。そうして一人で勝手になっていく。」
かぼちゃは楽、と姫子さんは言う。しかし、一定の収量のかぼちゃを育てるには広い土地が必要だ。かぼちゃもキャベツなどのように、一列に並べて植えるのだが、ツタが長く伸びて育つ作物のため、ツタが絡まないよう植えた列同士の間隔を広くとらなければならない。
「かぼちゃって長―く伸びるので、間隔が長くないと絡まって、だめなんですよ。1m近い間隔で植えないと。ひろいところにぽつんぽつん植えるかんじ。土地あれば植えっぱなし。」
川村家は専業農家で、広い畑をもっている。かぼちゃを栽培するのにぴったりの条件がそろっていたわけだ。

5世代9人家族、96歳のばあちゃん筆頭
姫子さんは、かぼちゃのほかにも多くの野菜、米、果物を栽培している。シャインマスカット、アスパラ、ケール、紫水菜や紫カリフラワーなどのカラフル野菜、米は飼料用とブランド米の銀河のしずく等々。さらに新しい作物も次々試している。
姫子さんが川村家へ嫁に来て27年になる。川村家は現在、96歳のおばあさんを含め5世代9人家族。姫子さんもだんなさんも農業大学卒、その子供達も農業高校をでている農業一家である。
家族で作物を育てているので人出不足で悩むことが無い。また専門知識を持った人たちばかりなので、新たな作物にもどんどん挑戦できる。
特に姫子さんの義母である75歳のおかあさんは、いち早くカラフル野菜をはじめた進取の気概のある人だ。このおかあさんが姫子さんの師匠である。
食にこだわっているのが農家
姫子さんはとても明るくエネルギッシュ。川村家の人たちも長命でアグレッシブだ。
「うちら農家って永遠に仕事があるんですよ。(96歳のおばあちゃんも)草取りしますよ。うちらはね、ねっこの近くとか、みんなが食べないところを食べる。栄養あるところ。ちゃんと洗ってゆでて、根っこの中心のところ。みんなはカットしてすてて、大根の葉っぱも食べるからね。活きのいいうちに炒めたり。食にこだわってるのが農家だと思う。」
姫子さんは、他の農家や近隣のレストランなどと積極的に交流を深めている。レストランからの依頼で新たな作物をつくったり、親しい仲間と組んで新しい加工品の開発を行ったり、食にこだわる様々なプロジェクトにかかわっている。
「次々やりますね。売れるもの、売れないもの見極めないといけないからね。」

この日は花巻に初雪が降った日だった。川村さんの温かな語り口と新しい物へ次々挑戦する姿勢に、寒さを忘れて引きこまれた。気づけばすっかり夕暮れだ。かわいらしく実ったかぼちゃをいただき、姫子さんのハウスを後にした。