生産者紹介
【花巻市石鳥谷町】 大釜広貴さん
りんご生産者
- 直売所オープン、地域に支えられて
- 大釜さんは昨年の取材時につくりたいと希望していた「りんごの直売所」を今年10月にオープンしました。
「ずっとやりたかったことなんです。ようやく今年、念願の直売所を始めました。地域の方々に支えてもらって、なんとか形になりました。」
プレハブの建物を中古で購入し、近所の大工さんにデッキや屋根を作ってもらったと言います。土地も地域の方から「使ってくれないか」と声をかけてもらったもの。
取り扱っている商品は、りんごの他、りんごを使ったジュースやジャム等の加工品です。
「使っている果実は100%うちのりんごです。直売を始めてからは“インスタ見てきました”という方も多くて、他県からのお客様も。ありがたいですね。」
○直売所情報
大釜りんご園「りんごの森」(花巻市石鳥谷町滝田12-82-5)
- 25種類を超える多彩なりんごたち
- 現在、農園ではジョナゴールド、ふじ、つがる、シナノスイート、シナノゴールドなど、定番から珍しいものまで25種類以上のりんごを栽培しています。
「直売所を開くときに、他ではあまり見かけない品種を並べたいと思って少しずつ増やしてきました。個性的な色味のりんごもあります。」
それぞれの品種には性格のような“個性”があり、収穫のタイミングを見極めるのも難しいと言います。
「人と一緒で、りんごにも個性があるんです。まだ“一番おいしいタイミング”を掴みきれていない品種もあります。りんごに育ててもらってるなぁって、よく思います。」
作業の中で最も大切にしているのは、春の「摘果(てきか)」作業だと言います。不要な実を間引きくことで残った実に栄養を集中し、果実が大きく育ちます。遅れると来年にも影響が出る大事な工程です。
「実を間引く作業なんですが、ここを遅れると翌年の付き方まで影響してしまう。だから、5月から7月まではびっしり作業です。」
就農当初は1町3反ほどだった畑も、いまや2町3反まで拡大し、現在は奥様とアルバイト4名で畑を回しています。
地域の農地を引き継ぐ形で少しずつ広げています。 - 子どもたちに伝えたい「食べる」の向こう側
- 印象的なのは、地元の少年野球チームを受け入れて行っている「収穫体験」です。
「野球チームの人間が同級生なんですよ。“子どもたちに食べ物を作ってる人の顔を見せたい”って言ってくれて。実際にりんごをもいで、食べて、喜ぶ顔を見てると、やってよかったなと思います。」
地域との輪を大切にしながら、農業の楽しさを次世代へ伝えています。 - 「滝田ジョナゴールド」と突然変異のロマン
- 滝田地区には、地元ブランド「滝田ジョナゴールド」があります。普通のジョナゴールドの木から、一本の枝だけが濃い紅色の実をつけた偶然の「突然変異」から生まれた品種です。
「その枝を接木して増やしたのが始まりなんです。りんごって不思議で、同じ“ふじ”でも、枝変わりでまったく違う色や味になることがあります。」
大釜さん自身も、種から新品種を生み出す「育種」に挑戦している。
「種をまいて芽が出たら、それはもう“新しいりんご”なんです。世界にひとつしかない。もちろんほとんどはおいしくないんですけど(笑)、それも含めて面白い。」
最後に、おすすめの品種「シナノスイート」について教えてくれた。
「酸味が少なくて、甘みが強いりんごです。シャキッとした食感で人気がありますね。日持ちもしますし。」
りんごに教えられ、りんごに育てられる。
滝田の若き農家の姿は、花巻の実り豊かな風景と重なって見えました。




