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生産者紹介
アスパラガス生産者
【花巻市中根子】農業生産法人 中根子さん
おいしいアスパラはみずみずしく、まっすぐ直立した美しさがある。この2つを備えたアスパラをどうつくるのか?
元は水田であった土地なため、畑の脇を通る用水路から水を畑に引き入れる設備が整っている。水不足となったら水を引き入れ、一時的に畑を水浸しにすることで水不足を解決している。
次はまっすぐとした形の美しさだ。アスパラが曲がってしまうのは水不足が原因の一つとしてあげられる。また土の中に石があると、アスパラは曲がったまま成長してしまうので、こまめに石を取り除くことも大切だ。
さらに虫の被害に病気が怖い。特に雨水が地上で跳ね返りアスパラに当たると茎枯れを起こす原因になる。そのため雨の跳ね返りを軽減するクッション代わりにもみ殻を畑に撒いて予防している。
収穫とこまめな草取り、そして防除と美しいアスパラのためにスタッフみなで協力している。
しいたけ生産者
【花巻市葛】阿部貴広さん
仕事場であるビニールハウスへ案内してもらった。奥行18間ある大きなハウスで、入り口3軒分は作業スペースとして使い、奥の15間でしいたけを栽培している。
しいたけ菌が活発に動くのは22~3度。わずか2度暑かっただけで動かなくなる。22~3度を1週間ほど維持し菌を活発に動かし、しいたけの芽が中でつくられるのを待つ。そして一気に冷やしたり衝撃を与えることで芽が出てくる。
阿部さんは以前、複数の品種のしいたけを栽培していたが、今は肉厚で長く収穫できる品種1つのみを栽培している。たいへん好評で、阿部さんのお宅に直接買いに来るお客さんもいるほどだ。
寒じめほうれん草生産者
【花巻市似内】照井健二さん
複数のハウスが立ち並ぶ中、目当ての寒じめほうれんそうは2つのハウスで栽培されている。ハウスの広さは間口4間×奥行19間。その中に20列くらいの寒じめほうれんそうがきれいに並んで栽培されている採れたての寒じめほうれんそうをいただいた。口にすると苦みが無くとても食べやすい。
冬の寒さによって野菜の甘みが増すことは昔から知られていた。寒さで凍らないように野菜は糖分を蓄える性質があるからだ。この性質をうまく使うため、あえて冬に栽培しているのが寒じめほうれんそうだ。
水管理は大変だが、一方で草があまり生えないので草取りの手間はあまりかからない。どんな土地にも特徴があり、土と野菜の相性を考え、確実に収量を確保するための積み重ねが大切だ。
白菜生産者
【花巻市葛】渕澤秀峰さん
大きく立派に育った白菜がきれいに整列している。今朝から降った雪が白菜畑にところどころ残っており、陽光にきらきらと輝いて美しい。
素人目にはどれも立派に見えるが、虫に食われたり、育ちすぎて割れたりして、出荷できないものもある。淵沢さんに促され、別の白菜の頭を押してみると、中が空洞のように手ごたえが無い。これは白菜に芯が入ってない状態だ。
白菜、大根、きゃべつは家庭菜園で秋の定番。今年は家庭菜園での栽培状況もいい。そのため今、直販などに白菜を出してもなかなか売れない。もっと雪が降り、寒さが厳しくなると家庭菜園の人たちは畑に入らなくなる。それを待ってから売りに出す。農家のステージはこれからだ。
白菜は霜にあたることで甘さが増す。淵沢さんは、自分の野菜がお店でどう料理されているか、高い関心をもっている。出荷して終わりではなく、現場の声を聞き、作るものを変えている。お皿の上を想像して、自分の野菜の役割を考えているのだ。
おでん大根生産者
【花巻市葛】渕澤秀峰さん
2アールほどの広さの畑に案内されると、そこには曲がったり、割れた大根が目に付いた。おでん大根は、通常の大根に比べて、水分が多く柔らかい。そのため強風で曲がりやすく、割れやすいのだそうだ。
実際におでん大根を土から抜いてもらった。淵澤さんがうっと力をこめ、土からおでん大根を掘り起こす。3kgはあるだろう大きく立派な大根が姿をあらわした。
もっと寒くなり畑に霜がおりる。するとさらに甘くなる。おでん大根の上から半分は薄く皮がむけるような状態になり、まるで梨みたいになるそうだ。
淵澤さんの畑は北上川のすぐそばにある。川近くの土地は、川の氾濫によって水中に含まれている色々な栄養が土壌に運ばれてくるため、豊かで肥えた土地である場合が多い。淵澤さんの畑もそんな川の恵みを受けている。
ピーマン生産者
【花巻市石鳥谷町】中村和哉さん
このピーマン畑は複数ある畑のひとつ。野菜栽培のために借りた土地だ。この風通しの良さがピーマン栽培には重要だ。風が吹くため病害虫が発生しにくい。
この土地を借りたのは風通しの良さに加え、地下水のくみ上げポンプがすぐに使えたのも大きかった。ピーマンは肥料と水やりの手間がかかるが、ここなら水やりの負担を減らして栽培することができる。畑にホースを設置し、水と液肥をホースを通してまんべんなく水やりする。
中村さんにはいくつかのアイディアがある。その一つは惣菜の販売店だ。野菜を調理、加工して新鮮な惣菜にしてだす小さなお店。そこで規格外の野菜を扱えれば、廃棄を減らせる。
中村さんの実家は代々続く農家だ。ただすぐに家業を継いだわけでなく、はじめは自衛隊へ入隊した。3年間の自衛隊での生活。生きることは食べることであって、中村さんの中で実家の農業がつながっていった。
なす生産者
【花巻市石鳥谷町】伊藤邦彦さん
伊藤さんのナスは皮が薄いので、調理しやすく食べやすい。柔らかく実がしっかりしているので、色々な料理に応用できるという特徴がある。
栄養が葉っぱに行き過ぎないよう余分な葉っぱを刈り、木の勢いを抑える。また一方で、葉っぱを刈りすぎると実に栄養が集まりすぎて、きれいな形になりにくい。木と実のバランスを考えて、木の勢いをコントロールするのが剪定作業だ。これには今まで培った経験と勘がものを言う。伊藤さんがこの畑でナス栽培をはじめて12年。経験を積んできた自信がうかがえた。
さんさんと降り注ぐ日光を浴びて育つなすと、石鳥谷の自然の中で、健やかに育っていく子供たちの姿を想像しながら、伊藤さんのナス畑をあとにした。
アスパラ生産者
【花巻市中根子】農事組合法人 中根子さん
「農事組合法人 中根子」は花巻市の中根子地区の人たちが中心となり組織された。
今年は5月と思えぬ暑い日が続いている。暑いとアスパラはどんどん伸びていき、出荷できないほど大きなサイズになってしまう。それを防ぐため、涼しい時間帯である早朝5時から収穫を行っている。
この畑は水はけが良い。野菜栽培では、水はけが良いからと言って気を抜くのは禁物だ。水はけが良いため日照りの日が続くと土が乾燥し、アスパラがうまく育たなくなってしまう。
このアスパラ畑は、野菜の収穫場だけにとどまらず地域の憩いの場としても活用されている。アスパラ収穫体験を行う「中根子ふれあい祭り」は今年で早や3年目を迎える。地元の子供たちが、大きなアスパラを探して畑の中を探し回る。野菜の収穫体験を通して地域の人たちの交流の場所となっている。新しいことへ積極的に取り組みながら、瑞々しく、質の良いアスパラを、十分な収穫量を確保しながら安定して出荷していく。
雪下にんじん生産者
【花巻市中根子】平賀恒樹さん
今年のニンジンは例年に比べ小さい。大きく育ちにくかった原因は夏にある。
ニンジンの種まきは8月だ。今年の8月は雨が降ったり日照りだったりと天候が安定せず、種まきが遅れた。そのためニンジンが大きくなりにくかったのだ。
「いつも実験作みたいなことやってる。」と平賀さんは言う。今回は2種類の種をまき、生育の違いを比べた。
平賀さんはたくさんの肥料や薬剤を入れる農法に魅力を感じなくなっていった。
「やっぱ食べて新鮮なうちに味わうのが野菜はいい。そのためのカフェでもあるんで。」
なるだけ自然に近い形の方法で、新鮮でおいしい野菜を作る。平賀さんのこだわりは、直にお客さんと接しているからこそだ。
しいたけ生産者
【花巻市葛】阿部貴広さん
しいたけの大きさは軸の太さを見る。軸が細いのは大きくならない。収穫の際は軸を見て、採るかどうかを判断する。
またしいたけの傘の裏が開くと、しいたけの香りが失われる。それを防ぐため、阿部さんは今年から新しい品種を試している。比較的大ぶりのきのこが採れる品種だが、そのかわり採れるしいたけの数が少ない。どのように生育していくか試行錯誤の最中だ。
取材が終わり、別れ際に阿部さんが1個のしいたけを見せてくれた。傘の表面に美しい鱗片がちりばめれている。
点々があるほうがしいたけの美しさがある、と阿部さんは言う。
できるだけ収量を減らすことなく品質を高めていく。阿部さんは今も工夫を続けている。
花巻市農村青年クラブ連絡協議会とは、岩手県の若手の農業者が運営する団体です。
クラブ員の圃場巡回や県内外の先進的な農業団体・施設などでの研修を通じて農業のスキルアップに繋げています。
また、各地域振興へも寄与するため、催し物などで農産物の販売などを行い地域住民との交流を深めています。
農家は天候や価格に左右され、さらには労働力不足や資材高騰などで不安定な職業でもあります。
提供している農作物は、そのような環境でもクラブ員が熱意を持って丹精込めて作った物ばかりです。
クラブ員の想い、そしてその農作物から美味しい朝ごはんが出来上がっています。
花巻を訪れていただいた際には、花巻の生産者が作った花巻の野菜で花巻の魅力を感じていただけると幸いです。
会長 高橋雄吾